モノづくりの本質

近年モノが売れない時代だという言葉を耳にします。モノよりコトを売る時代だということです。この言葉の解釈はさまざまですが、モノとは手で触れることのできる形のある物、コトとは形のないサービスや体験と捉えることができます。

 

私たちの身の回りはすでに多くの製品であふれかえっています。そういった状況下にあってさらに物を売りつけようとする行為は、確かにナンセンスと感じてしまうかもしれません。

 

しかしこれらの意見はモノづくりを商売や経済活動の一部としかとらえていない狭い意見と感じます。もちろんモノづくりとお金の関係は切っても切れないものですが、モノづくりの本質はもっと他にあると考えます。

 

モノづくりとコトづくり

工業デザインの世界では、よくモノづくりコトづくりという言葉が使われます。

そしてその中心にはいつもヒトの存在があります。

 

私たちはさまざまな欲求や願望をもっています。具体的には、健康でありたい、もっと早く移動したい、夏でも快適に過ごしたいといった個人的なことから、地球環境をできるだけ持続可能な形で残したい、貧富の差をなくしたいといった社会的なことまでさまざまです。また、本人が気付いていなくもて、無意識に欲しているコトもあります。

これらは広い意味で価値観ととらえることができます。

 

コトづくりとはそういった人の価値観に向き合って、何かしらの解決策を見出すこと、より良いソリューションを提示することと置き換えることができます。

 

一方モノづくりとは、人の価値観に対するソリューションを、必要としている人に届けるための手段です。どんなにすばらしいソリューションもカタチをなさないままでは、うまく相手に届けることはできません。そしてそのカタチは、必要としている人にとって受け入れ易いカタチでなければなりません。

 

モノづくりがソリューションを相手に届けるための手段とするならば、カタチは必ずしも手で触れる物である必要はありません。

冒頭に出てきたサービスや体験は手段です。コトづくりでは無く、モノづくりの一つのカタチととらえることができます。

 

大切なのは、モノづくりもコトづくりも、ヒトに向き合うことから始まるという点です。

つまり、モノづくり(コトづくり)の本質とは、誰が(ソリューションを)必要としているか、どんな思いに応えるのかということに向き合うことと言えるのではないでしょうか?

 

本質の歪みがさまざまなストレスとなる

しかし、会社や組織の中でモノづくりに取り組むとき、その本質が歪んでしまうことがあります。組織の存続のためには、物をつくり続けなければなりません。

 

自動車業界では2年ごとにモデルチェンジを行います。家電業界では季節ごとに新機種を発表します。

すでに作ることが決まっていて、何を作るのかを議論することになります。何のために作るかは後付けです。モノづくりの本質から言えば、この流れは逆行しています。

 

そしてモノづくりの歪みは結果となって現れます。

モノが売れない理由は、単にコトを正しくモノに落としこめていないからかもしれません。コトを必要としている人が存在しないためかもしれません。そもそも人との向き合い方が足りないのかもしれません。

コトがよくわかっていないのにモノだけ作ってしまったのでは、仏作って魂入れずです。当然、モノづくりの中心にいるはずの人の共感を得ることは難しくなります

 

もしもあなたが、今取り組んでいるモノづくりに対して、社会に貢献していると感じられない、何のために作っているのかわからない、使う人の喜ぶ顔が見えない、ということに強いストレスを感じているのであれば、その原因はモノづくりの本質の歪みを感じているからかもしれません。そしてその結果が良いものにならないことを知っているからかもしれません。

 

モノづくりの本質とは逆行した取り組み方をして、自分たちが苦しんでいるという矛盾を理解していながらも、そうせざるを得ない状況が今日のモノづくりにあるように思います。

 

モノづくりの本質に向き合うには

しかし、この歪みを生み出しているのは、モノづくりとお金の関係や開発サイクルだけとは限りません。

 

エンジニアはしばしば機能や性能にとらわれがちです。高性能で多機能なモノは優れていると思いがちです。しかしこれらの機能や性能も人と向き合って初めて意味を成します。どんなにすごい機能も、使う人の共感を得られなければ、すごいけどいらないモノになってしまうのです。

 

エンジニアの方が、コトづくりやモノづくりといった考え方を理解することは非常に大切なことだと思います。しかし、そういったコトに触れられる場所はなかなかありません。

ANOTHER PRODUCTでは、モノづくりの本質にもう一度向き合う機会を作って行きます。

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